先日、アルツハイマー病の治療薬として一躍有名になった「アデュカヌマブ」。
そのアメリカの医薬品メーカーの株が急落したというニュースが入ってきました。
株価はともかく「アデュカヌマブ」…ってどんな治療薬だったかな、と…改めて調べてみました。
アルツハイマーの治療薬「アデュカヌマブ」とは
「アデュカヌマブ」は、簡単に言えば、脳の中の認知機能を低下させる有害なたんぱく質を除去する効果がある薬です。
これまでアルツハイマーの治療に使われていた薬は、症状を一時的に抑えるものばかりでした。
だが「アデュカヌマブ」は有害なたんぱく質を取り除くという働きがあるため、認知機能の低下を抑えることができる、というもの。
アメリカの「バイオジェン社」と日本の「エーザイ(株)」)によって開発され、今年6月、アメリカ食品医薬品局より医療用として承認を受けました。
この事は当時ニュースなどで大いに取りあげられていたのでご存知の方は多いでしょう。
アルツハイマー病はなぜ起こるのか
「アルツハイマー病」と「認知症」がごっちゃになっている方も多いと思いますが…
アルツハイマー病とは
・認知症は「なんらかの原因により記憶や知的活動能力の消失など日常生活に支障をきたしている状態の総称」。
・アルツハイマー病は「記憶・思考・行動」に問題を起こす脳の病気。
そして、認知症の約8割が「アルツハイマー病」または「アルツハイマー型認知症」と言われています。
アルツハイマー病の原因は有害タンパク質の蓄積
アルツハイマー病の原因の一つとして考えられているのがたんぱく質「アミロイドβ(Aβ)」。
この有害なたんぱく質が脳内で蓄積していくことにより、神経細胞が傷つけられ、死滅、減少、脳の萎縮などで、症状が進行していく、ということです。
「アデュカヌマブ」は、そのタンパク質を除去する効果があるため、認知機能の低下を抑えることができる、というものです。
これまでのアルツハイマー病治療薬との違い
米国食品医薬品局からこれまで承認を受けているアルツハイマー病治療薬は4種類。
その薬の働きはいずれも「認知症症状の進行抑制」であり「アデュカヌマブ」のように直接作用する薬ではありませんでした。
簡単に言えば
「アデュカヌマブ」…原因を除去する
「これまでの薬」…神経伝達物質を制御して認知症の進行を遅らせる
という違いがあります。
これは、かなり画期的なことだと、話題になったわけです。
4つのアルツハイマー病治療薬
これまで認知症治療に治療に使われている薬は以下の4種類。
・ドネペジル(日本名:アリセプト®・ドネペジル®)
⇒高度・軽度・中等度のアルツハイマー病の治療用
・リバスチグミン(日本名:イクセロンパッチ®・リバスタッチパッチ®)
・ガランタミン(日本名:レミニール®)
⇒軽度・中等度のアルツハイマー病用の治療用
・メマンチン(日本名:メマリー®)
⇒中等度から高度のアルツハイマー病の治療用
もちろん、専門の医師の判断で症状別に処方されます。
アデュカヌマブの治療コスト
薬が出来たことは喜ばしい事だが、やはり現実的なこと、治療費が気になりますね。
実際6月の発表時、4週間に1回の点滴で年間の薬剤コストは5万6000ドル(約610万円)という話でした。
この金額では誰でも受けられる治療というわけにはいかないでしょう。
実際、「アデュカヌマブ」の医薬品メーカーの株価下落は、この「アデュカヌマブ」の販売が伸び悩んでいることがの原因として挙げられています。
まとめ
これまで「認知症に効く薬はない」と言われてきました。
でも、この常識を覆した、とされるのが「アデュカヌマブ」。
ただ、この薬に関して、実は色々な問題が持ち上がっています。
「副作用」の問題や「本当に効いているのか?」「審査は異例だった?」「承認が早すぎたのではないか」などという話も見受けられます。
新薬開発にはいつの時代もこういう話はつきものであることもまた事実。
認知症は誰にでも起こりうる、避けては通れない病気。
この薬の未来に期待したいですね。
頑張れエーザイ!